フランスでの食事はいつもゆっくりだった。
味付けで気が付いたのは塩分をほとんど感じなかったと言うこと。
その代わり、良く嚙んで素材の味を楽しめた。
飽きたら、塩をかけた。そこで、何となく思った。
塩には塩の味しかしない。
どんな料理も塩を入れると塩味になってしまう。
素材の味を知る為には良く嚙んで唾液ににじみ出た味を、味覚神経が感じる事でそざいの個性を知ることになる。
良く素材について講釈を聞くけど、その本人がサラダにドレッシングをかけ、美味いと言っても信用ならぬ。それは旨いと言うことを意味するからだ。
サラダは何もかけず、ニンジンやらレタスなどの青い、苦み走った甘みを感じる料理なのだ。
それはゆっくり咀嚼し、ほのかな味覚を味わう辛抱のいる舌の見聞を広める旅だと思う。
だから確信をもった。最終的な塩分はユーザーが調節すればいい。
僕らが作る料理は塩分は極端にひかえめだ。物足らないのならテーブルに置いてある塩をかければいい。
僕らはゆっくり嚙んで、その土地の土を感じて欲しいと思う。