3月11日、そこにいたおじさんはペットの犬5匹と午後の休憩中でした。
そこへ、あの地震。
「あれはすごかったが、この家は耐震設計なので大丈夫だった。」
しかし、事態は急変。そう、津波警報が発令された。
内陸に2kmの地点にある自宅にまでまさか津波が来るとは思っていなかったそうでしばらく家の点検などしていたそうだ。
そしてふと海岸の松林を見ると松林を超えるしぶきが見えた。
今回の津波はただ事ではないと一瞬で悟り、逃げようとしたが付近は避難する車で渋滞している。そしてまもなく濁流にのまれた車やコンテナ、舟がこちらに向かってきた。その間、1,2分の事だったそう。
平屋の奥にいた奥さんを連れ、裏にあるプレハブ作業小屋の2階に飛び込むと同時に膨大な濁流が家や付近、ペットを飲み込んだ。
しばらくは何も出来ず辺りを見回すしか出来なかったそうだ。
やがて、暗くなりあちこちから「助けてくれ」といういくつもの声が聞こえていたが周りはまだ濁流がうねり、何も出来なかった。そして少しづつそれは雪の中、消えていった。
勿論付近は停電。暗闇の中、どうすることも出来ない、忍び寄る恐怖を感じたそうだ。
やがて日が昇ってようやく付近を見渡すと2千坪の敷地内には沢山のがれきが散乱、大事に育てた庭は壊滅状態。沢山の車や舟、漁具、その中にあった幾つかの遺体。
近くの木にはしがみついたまま息絶えた人。
隣の家では7人家族の内、5名が亡くなったそう。かくいうおじさんのペットも5匹とも亡くなったと、つらそうにしていた。
こんな事がここではありふれた事と知り、ショックだった。
昨日、僕らはこの日たった4時間しか、がれき撤去のお手伝いしか出来なかったけど、少しでも助けてあげたいと心から思った。
最後にお話しした際、おじさんから「今回のボランティアさんのおかげで考え方が変わった。親切を頂いてこんなに嬉しいことはない。俺もまだまだがんばるから。本当に心から有難うございました。」と言葉を頂いた。
あふれる感情を必死に押さえた。
またお手伝いに行きます。